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VR前後の教育をカスタマイズ

危険感受性の向上にVRが役立つことは、これまでのコラムでお伝えしてきましたが、それだけでは安全教育とは言いづらいです。
どうすれば教育として成立するのでしょう。
このコラムは安全教育に携わる方々をはじめ、安全教育について興味関心の高い方々に向けて、全4回シリーズでお届けしています。
最終回は、「VRの活用と前後の教育をトータルで考える」ことについての考察です。

私たち日立ドキュメントソリューションズが提供する職場の安全教育ソリューションでは、怖さを体感していただき、危険感受性を向上させることを目的に、VRを活用しています。しかし、こうしたVR活用だけで教育として成り立つわけではありません。第3回のコラムでも述べたとおり、VRで労働災害を体感したことをきっかけに、安全対策の知識を習得してもらうことが大切だと考えます。
最終的に知識の習得まで落とし込むために、教材を併せて活用することが重要です。
私たちはクリエイティブ事業部門を有する会社で、コンテンツ制作を得意としています。お客さまと綿密なお打ち合わせ、ヒアリングなどを行い、お客さま独自の教材コンテンツを制作することができます。CG技術を用いた資料や映像なども活用し、「VRを活用した安全教育ソリューション」として提供しています。

私たちのVRを活用した安全教育ソリューションのコンセプトは、VRによる災害の疑似体験をきっかけに、安全に対する認識や興味を深め、予防・再発防止の知識と理解を深めることです。そのため、VRの事前・事後の教育を重視し、お客さまに合わせてオリジナルの教材を制作します。

VRを活用した安全教育ソリューション

VRで体感する前段階として、事前教育では、労働災害が起こる前はどのような状態・環境だったのかを見てもらいます。事前教育の目的は動機付けですから、ビジュアルのインパクトを重視します。例えば、足場からの墜落災害。高所から落ちると死亡災害につながります。その重大さを伝えるため、テキストではなくCG映像で作業員の墜落シーンを見せます。
そして、その墜落災害を受講者が個別にVR体感。落下を仮想体験することで、怖さを感じてもらいます。
事後教育では、その災害の原因がどこにあったのか、受講者全員でディスカッション。答えが出揃ったら答え合わせをして、映像を見ながら原因を究明し、防止対策を理解してもらいます。

では、私たちが制作する教材にはどのような特長があるのか、ご説明させていただきます。
ひとつは、VRで体感する災害を深掘りして理解を深めることを目的とした教材です。私たちが「理解度重視型教材」と呼ぶこのタイプは、CG映像で直感的に災害の状況を把握し、原因・予防・再発防止対策などを取り上げます。予防・再発防止対策では、お客さま先の現場の設備対策や日々対応している作業基準、ルールなどを盛り込みオリジナル性を付加しています。

もうひとつは、「自分ごと化重視型教材」です。
私たちが提供するVRの労働災害シナリオは、汎用的な内容なので、残念ながらお客さま先で起こった災害とまったく同じとは言い切れません。お客さまから「自社災害を再現してほしい」というニーズが高まっていますが、オリジナルのシナリオでVR災害を再現するには、通常よりもコストがかかってしまいます。そこで、VRでは類似した災害シナリオをセレクトし、教材ではお客さまからご支給いただいた自社災害の写真や資料を活用し、オリジナル性を付加しようと考えました。お打ち合わせやヒアリングを重ねた上で、お客さま先で起こった災害を題材に事前・事後教育用の教材を制作していくのです。これを私たちは「自分ごと化重視型教材」と呼んでいます。
「自分ごと化」のメリットは、お客さま先で起こった災害を深掘りできることにあります。事前教育で災害への伏線や予兆などを細かく設定できますし、事後教育では災害の原因をお客さま目線でさまざまな角度から究明し、独自の対策を盛り込んでいくことが可能になります。
最近では、お客さま先で起こった災害を深掘りしてCG化する「理解度重視型」と「自分ごと化重視型」を組み合わせたオリジナル教材のニーズも増えてきました。

これまでの安全教育では、会議室などに受講者を集めて行う、いわゆる集合教育が一般的でした。ところが、アフターコロナの影響か、昨今は「集まってもらうのが難しい」という声を聞きます。「各地の事業所で教育したいが、講師を出張派遣するとコストがかかる」、「派遣できる講師が少ない」といった声もあります。
そこで私たちは、講師がいなくても受講者が自主的に学習できる教材の制作にも取りかかりました。VR機材はキャリーケースに格納して送付し、教材の説明はナレーション音声で行う教育形態も可能にしています。

これまで4回にわたってお送りしてきた安全教育に関するコラム。私たち日立ドキュメントソリューションズがお客さまの現場で目の当たりにしていることや独自に行ったアンケート結果なども交えて、私たちの考えやソリューションをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。VRを活用した安全教育に少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひともお声がけください。より詳しい資料はもちろん、VRのデモを体験いただくことも可能です。

(4回シリーズ終わり)

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